ポルノグラフィティ アルバム「暁」全曲レビュー
【記事公開日:2022/08/12】
ポルノグラフィティが先日5年ぶりにリリースをしたアルバム「暁」。
このブログではこれまでもポルノグラフィティを紹介してきています。それは、私がファンクラブに15年入ってるほど大好きなアーティストだからです。
待ちに待った今回のアルバム。これまで他アーティストでも何度かアルバムの全曲レビュー記事を書いてきました。
今回はアルバム「暁」を全曲レビューします。
ぜひ、サブスクでアルバムを聞くきっかけに。
1.暁
先行配信された時から衝撃を与えたアルバムリード曲。
ゆっくりと始まったかと思うと怒涛のようなロックサウンドで大きなインパクトを与えてくれる。「THE DAY」を思い出させるような疾走感。昭仁さんのサビのファルセットが何度聞いても気持ちがいい。晴一さんのギターのサウンドも楽曲をより盛り上げてくれる。音源でも素晴らしいのだが、「ミュージックステーション」「SONGS」で披露されたときには何十倍のパワーを持った楽曲となっている。この曲を今回のツアーで目の当たりにすると覇王色の覇気を食らった後のように倒れてしまうかもしれない。それくらい、待ち望んだ楽曲の世界観だったのだ。
2.カメレオン・レンズ
ドラマ『ホリデイラブ』の主題歌。2018年にリリースされたシングル。
このアルバムの中で一番古い楽曲でもある。ポルノでも新境地となったEDM調のサウンド。ただ、EDMが主軸になるわけではなく、彼らが持つエロティックな歌詞の世界観と色気を感じられる歌声とギターの音色が合わさっている。ラテン調の楽曲を得意としたポルノが自身の持つ得意分野を残しEDMというエッセンスを加えて自分たちの色をしっかり感じられる楽曲だ。PVは二人の色気がだだもれでかっこいいので一度見てほしい。
3.テーマソング
昨年リリースされたシングル曲。
コロナ渦となり初めてリリースされた楽曲ということもあり、この生きづらい時代で頑張っているすべての人に向けた応援歌となっている。ドラムの音から始まり、爽やかなサウンドが心を晴れやかにしてくれる。一人一人の毎日を頑張るためのテーマソングになってほしい。そんなポルノの二人からの気持ちが自然と伝わってくる。ここまでの3曲だけで振れ幅の広さと表情力の広さに驚かされるのだ。
4.悪霊少女
アルバム初収録曲の楽曲。
晴一さんが「暁」同様にポルノの強みであるマイナー調の早い楽曲と語っている曲。ストリングスから始まるイントロ。サビに向かうにつれて徐々に盛り上がりを見せていく。サビの終わりのハイトーンは聞いていて気持ちがいい。そして何より間奏のギターソロの存在感。晴一さんが作詞だからこそ作り上げることができる、ファンタジー要素が詰め込まれた歌詞も印象に残る。
5.Zombies are standing out
Sony WALKMAN A50シリーズのWEB CMソング。初の配信限定シングル。
これまで「アゲハ蝶」や「サウダージ」などのイメージが強かった人に新たなイメージを与えることができたと語る楽曲。「悪霊少女」からこの曲へのつながりも世界観に統一性がありすばらしい。ポルノの二人が好きなヘヴィロックをベースにポルノならではロックサウンドを表現している。ライブでも何度か歌われたこの曲は、ライブ映えがすごく、ライブ定番曲にもなりつつある。今回のツアーでも盛り上げることは間違いないだろう。
6.ナンバー
17thライヴサーキット“続・ポルノグラフィティ”で披露され楽曲。
アルバム「ポルノグラフィティ」に収録されていそうな雰囲気の楽曲。UKロックをイメージして作られた楽曲の為どこか懐かしさを感じられる温かいサウンド。ウサギやキツネなども歌詞にでてきてかわいらしい物語を読んでいるような気持にもなれる。あたたかくほっこりした気持ちになれる1曲だ。
7.バトロワ・ゲームズ
アルバム初収録曲。ゲームの起動音から始まり、楽曲の世界観に自然と入り仕込んでいく。エレクトリックなサウンドの中にブラックミュージックの雰囲気も醸し出す。3分もない短い楽曲の中で歌詞の世界観を見事に表している。彼らの楽曲の中でも新境地を感じられる1曲。こちらの楽曲もライブ映えすることは間違いないだろう。
8.メビウス
こちらも17thライヴサーキット“続・ポルノグラフィティ”で披露され楽曲。
ライブで始めて聞いた時、歌詞の世界観からドラマの主題歌に起用されるのではなかと思っていた。「メンヘラソング」とファンの中では表現されることも多いこの曲。歌詞の主人公の行動が愛情ゆえであることがギターの優しく落ち着いたサウンドからより感じることができる。聞けば聞く程癖になってくるするめソング。歌いだしの「やさしい」の昭仁さんの歌声が優しさを際立たせている。
9.You are my Queen
アルバム初収録曲。海外の絵本を読んでいるような温かさのある世界観。アコースティックギターをはじめとした楽器たちが曲に温かみをあたえているのだろう。昭仁さんの歌声も小さな子供に語り掛けるようなやさしい歌声。「3歳くらいの女の子に語りかけているような、そんなチャンネルで歌詞」とインタビューで晴一さんは語っている。そんな歌詞を昭仁さんの歌声でより表現されている1曲だ。
10.フラワー
映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」主題歌。配信限定シングル。
強く生き抜くことをテーマにしたメッセージソング。バラードだからこそ、より際立つ昭仁さんの歌声。伸びがあり力強い歌声から歌詞がより心にグッと入ってくる。
11.ブレス
映画『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』主題歌。
先ほど紹介をした「カメレオン・レンズ」の次にリリースをされた楽曲。当時、この2曲の振れ幅に驚かされた。色気のある歌声で大人の愛情を歌った楽曲をリリースしたかと思えば、家族で聴けるハートフルでポップな曲をリリースする。ポケモンという長く愛される作品の主題歌。温かさのあるメロディと歌詞からは映画の世界観だけでなく20周年目前の彼らがこれからの今後の決意も感じられる。
12.クラウド
アルバム初収録曲。今の時代を象徴するようなタイトル。クラウドとは、インターネット上の仮想空間にデータを保存すること。晴一さん曰く、10年後にはこの言葉や存在がなくなっているかもしれないからこそ、楽曲にして曲を聞いた時に時代を思い出せるものになればとつけたらしい。プレイリストやログインパスワードというワードからも今の時代を感じられる曲となっている。
13.ジルダ
アルバム初収録曲。聞き心地のいいメロディ。おしゃれなバーで曲を聞いているような気持ちになれれるサウンド。「横浜リリー」のような世界観をどこか感じられる。温かさのあるサウンドが続く中、最後の昭仁さんのフェイクに圧倒される。
14.証言
先行配信された楽曲。壮大なラブバラード。歌いだしから始まり、曲の世界観い引き込まれる。ストリングスが曲をより壮大に演出してくれる。バラード曲ではあるが、間奏のギターの存在感は曲をより盛り上げてくれる。昭仁さんの歌声を最大限に堪能できる1曲でもある。
15.VS
アニメ「MIX」の主題歌。
歌詞の中には、アニメのキャラクターの名前が入っており。原作ファンも楽しませてくれるものとなっている。過去楽曲の「プッシュプレイ」と対となる曲にもなっており、東京ドームではこの曲でアンコール前のラストを締めくくってくれた。この曲を今聞いても東京ドームのライブの空気感や感動がいまだに蘇る。その時を思い出して、涙が出そうになるのは私だけじゃないだろう。
以上が今回の収録曲です。
5年ぶりとなった今回のアルバム「暁」。
今回収録されたシングル曲だけを聞いていた時から振れ幅の広いシングルたちをどのようにアルバムに収録されるのかが疑問だった。
その疑問は、アルバムを1度聞き、すぐに解消された。
アルバム楽曲達がシングル楽曲並みに強い存在感を放っていたのだ。そのうえで、それぞれが違ったジャンルの音楽性の楽曲達が並んでいる。振れ幅の広いシングル曲に違和感がないように、より振れ幅を広げて、ベストアルバムのようなオリジナルアルバムを作り上げたのだ。
前作をリリースをしてから5年。
この5年にはいろんな時間が詰め込まれている。
地元の大切さを再認識し、豪雨で2日目が中止となった「しまなみロマンスポルノ'18~Deep Breath~」
サブスク全曲解禁を行い、過去楽曲を再度見つめなおし、新たなファンとも出会った「16thライヴサーキット "UNFADED"」
20周年を迎え歴史的な2日間となった「"NIPPONロマンスポルノ'19 〜神vs神〜"」
コロナ渦というだれもが経験をしたことがなかった時代となりポルノとして新たな試みとしなった配信ライブ「CYBERロマンスポルノ'20 〜REUNION〜」
それぞれのソロ活動でパワーアップをして戻ってきた「17thライヴサーキット "続・ポルノグラフィティ"」
経験と成長をしてきた5年間を培ったポルノグラフィティの最新作。
昭仁さんは、「DISPATCHERS」での活動を通して、他のアーティストから刺激をもらい、歌唱力は一段とパワーアップをして、作曲する楽曲の振れ幅も広がった。
晴一さんは、ブログや執筆活動を通して、歌詞の表現力や世界観をより鮮明なものとなった。
普通は作曲をギター、作詞をヴォーカルだろう。だがポルノグラフィティは違う。これまで二人が両方を担当し、幅広い世界観の楽曲を作ってきた。そして、今作では、作曲を昭仁さん、作詞を晴一さんがすべて行っている。この割合はこれまでのアルバムでもなく初めての試みだ。
2020年に行われた初の配信ライブで「ポルノグラフィティ、全盛期はこれからです!」と語ってくれた。
この言葉を聞いた時私は、涙を流した。全盛期と世間で呼ばれるような時代もある彼ら。だが、彼らは常進化をしている。そんな進化をずっと見てきた。
全盛期がこれから。そんな言葉を体現しかのような今回のアルバム「暁」
ファンであるからこそという感情は間違いなく入ってしまう。
だが、音楽ライターという目線で言っても「暁」は、2022年を代表する名盤であることは間違いない。
サブスクが主流となり、気軽にアルバムを聞くことができるようになった現在。
まだこのアルバムを聞いていない人は、ぜひ聞いてみてほしい。
「アゲハ蝶」や「サウダージ」のイメージがある方こそ、今回のアルバムは彼らの前提を大きく塗り替えてくれることは間違いない。
ポルノグラフィティのニューアルバム「暁」をぜひお聞きください。
【関連記事】